枝廣淳子

枝廣淳子コラム 地球の未来を考える

プロフィール/枝廣淳子(えだひろじゅんこ)

環境ジャーナリスト・翻訳家、幸せ経済社会研究所所長、東京都市大学環境学部教授。東京大学大学院教育心理学専攻修士課程修了。環境問題に関する翻訳、執筆、講演、企業のCSRコンサルティングや異業種勉強会等の活動を通じて、地球環境の現状や国内外の動き、新しい経済や社会のあり方、幸福度、レジリエンス(しなやかな強さ)を高めるための考え方や事例等を研究。「伝えること」で変化を創り、「つながり」と「対話」でしなやかに強く、幸せな未来の共創をめざす。

  • 第1回 2015年12月
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  • 第4回 2016年11月
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温暖化についての関心や危機感は?

温暖化対策についての国際交渉COP21(第21回気候変動に関する枠組み条約締約国会議)が先月30日より、パリで開催されています(~12月11日)。
みなさんは「温暖化」について、どのような関心や危機感をもっていらっしゃるでしょうか?
「まだまだ先の話」と思っている方もいらっしゃれば、「いやいや、もう目の前に迫っているどころか、すでに影響は現れ始めている!」と思っている方もいらっしゃるかも知れません。
米国のピュー研究所がこの春、40カ国を対象に、「温暖化に関する一般市民の意見を分析する」調査を行いました。40カ国の18歳以上の成人45,435人に対して、対面インタビュー及び電話インタビューを行ったもので、日本も含まれています。とても興味深い調査結果でしたので、一緒に見ていきましょう。みなさんの実感と比べてどうでしょうか? 世界各地の人々の意識や関心はどのようなものなのでしょうか?

世界全体が「温暖化は重大な課題」

ピュー研究所によると、「気候変動は重大な課題である」ことは世界全体の総意であり、調査が行われた40カ国全てにおいて「気候変動は深刻な問題だ」という意見が大多数を占めていました。ただ、その懸念の度合いや内容は地域や国によって大きく異なることも明らかになりました。
どういう国が温暖化への関心が高く、関心が相対的に低いのはどこの国だと思いますか?
世界全体では54%の人々が「気候変動は非常に深刻な問題」だと考えているのに対し、中国でのその割合は18%、米国では45%でした。その割合がいちばん高かったのはブラジルで、86%。ついで、ブルキナファソの79%、チリの77%、ウガンダとインドの76%、ペルーの75%と続きます。

地域別中央値

日本はどうだったのでしょう? 日本も米国と同じ45%でした。日本にいるとわかりませんが、日本の「温暖化を非常に深刻な問題だと考えている人の割合」は世界全体の平均よりも低いのですね。
この調査では、一人当たりのCO2排出量と温暖化への関心度合いをプロットした結果、「全体的に見ると、一人当たりのCO2排出量が多い国(米国、オーストラリア、カナダ、ロシアなど)の人々の方が、一人当たりのCO2排出量が少ない地域(アフリカ、ラテンアメリカ、アジアなど)の人々よりも、気候変動に対し不安を感じていない」と述べています。「より責任のある人たちのほうが不安や関心が少ない」という、困った状態なのですね。

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