アップルの取り組み

アップルがRE100への参加を発表したのは、2016年9月でした。
その時点でアップルはすでに、米国、中国をはじめとする23カ国での操業を100%再エネで行っています。2015年には、世界中の事業活動のうち、93%を再エネでまかなっています。同社は、100%という目標に向けて、再エネへの投資を続けていくと述べ、アリゾナ州に50メガワットの太陽光発電プロジェクトの建設が終わったことも発表しました。
アップルはまた、サプライヤーの再エネへの転換を強力に推進しています。それを受け、たとえば同社の主要サプライヤーであるSolvay Specialty Polymersも、2018年末までに、8カ国14箇所の製造施設において、アップル向け生産のエネルギーは100%再エネにするというコミットメントをしています。2016年9月時点でのアップルのサプライヤーのコミットメントを合計すると、2018年末までに、アップル向け製品の製造に、年間15億キロワット時の再エネが利用される計算になります。
アップルは今年4月のアースデーにあわせて、新たな発表を出しました。カリフォルニア州クパチーノにできるアップル社の新本社であるアップル・パークは、世界最大の自然換気による建物で、1年のうち9ヶ月は暖房も冷房も必要ないと見込まれています。このアップル・パークは、500万平方フィート分のアスファルトやコンクリートの代わりに、草地が広がり、9000本もの日照りに強い在来種の樹木が植えられます。建物のエネルギーはもちろん100%再エネです。屋上には17メガワットの太陽光発電が敷き詰められ、世界でも最大級のオンサイト太陽光発電が行われることになります。
アップルの2017年の「環境責任レポート」では、「オフィス、店舗、物流センターで用いるエネルギーの96%を再エネでまかなっています」としています。24カ国では、データセンターも含め、事業活動の全てを再エネでまかなっています。また、製造サプライヤーの7社が「アップル向け製品の製造に関わるエネルギーは2018年末までに100%再エネにする」ことにコミットしていると報告しています。

日本企業・イビデンも

アップルはこのように、自社だけでなく、製造サプライチェーン全体の再エネシフトにも積極的に取り組み、サプライヤー向けのプログラム等で支援をしています。日本企業にも、アップルに部品や関連製品を供給しているところは少なくありません。
どこが最初に「やります!」というのだろう?と見ていましたが、今年3月にアップルは、同社に半導体パッケージ関連製品を供給しているイビデンが、日本企業ではじめて「アップル向け製品の製造にかかわるエネルギーを100%再エネでまかなう」と発表しました。イビデンにはこの日が来ることがわかっていたのでしょう、国内で多くの太陽光発電などの再エネ発電の導入を進めていました。
今回は「アップル向け製品」だけですが、今後、同じような要求をしてくる欧米企業は増えてくるでしょう。スチールケース社の例を見てもわかるように、IT企業だけでなく、さまざまな業種の企業がサプライチェーンの再エネシフトを求める流れが生まれつつあります。それがそういったサプライヤーに支えられているグローバル企業の今後の競争力を左右するという認識が定着しつつあるからです。
日本でも、そういったグローバル企業に供給しつづけるために、部品・部材メーカーの取り組みが進みそうです。そして、そこにとどまらず、自社のRE100の仲間入りに向けての取り組みがさらに進むことを願っています。

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