途上国では?

「先進国はともかく、中国や途上国ではまだまだ石炭を使うだろう」と思っている方もいることでしょう。たしかに現時点で、途上国での石炭消費量は増え続けていますが、これも資金面の締め付けから減速していく可能性があります。2013年には、米国のオバマ米大統領は「今後特別な事情がない限り、米国の公的資金を海外の石炭火力発電所に提供することはない」と発表。その翌月、世界銀行も「石炭火力発電所へは今後融資しない」と発表しましたし、欧州投資銀行も、石炭火力発電所の新設または改修への融資に対して、「炭素排出量がある値を超えない」という厳格な制限を設けています。
自国を除く世界のすべての国々の消費量を合わせたよりも多くの石炭を消費している中国でも、その石炭消費量はすでにピークに達し、今後は減っていくと見られています。今回のパリ協定も、中国は米国とともにいち早く批准をしました。今や再エネ大国である中国は、石炭に頼らないエネルギー経済への道筋をつけることができた、という見通しがその背景にあるのだろうと思います。地域レベルでも、主要な工業中心地を含む3つの省と3つの大都市は、2017年までに石炭使用量を大幅に削減すると公約していますし、北京では2020年から石炭の使用と販売が禁止される予定です。中国の脱石炭の動きは、あまりにもひどい大気汚染への国民の怒りへの対応でもありますが、石炭消費量が減っていくことは間違いないでしょう。

世界に逆行する日本

このように、先進国のみならず途上国でも脱石炭の動きが顕著になり始めている一方、日本では石炭火力発電所新設のニュースが相次いでいます。2016年4月9日時点で、新規計画は43基、設備容量2120万kWとのこと。世界の動向にまったく逆行していると言わざるを得ません。
「日本の石炭火力発電は最新型ですから!」と胸を張る人もいますが、最新型であっても二酸化炭素排出量は天然ガス火力発電の2倍以上。現在計画中の43基の発電所が全て稼働すると、約1億2700万トンのCO2が排出されることになるそうです。
この4月の環境省の発表によると、2013年度の日本の温室効果ガスの総排出量はCO2換算で14億800万トンでした。前年度に比べて1.2%増の要因の筆頭は「火力発電における石炭の消費量の増加」です。このまま計画中の43基が稼働すれば、日本全体の排出量が1割近く増えてしまうことになります。
世界第3位の経済規模を有し、世界第5位の排出国である日本が、パリ協定の批准が遅れているばかりか、石炭火力を増強しようとしている――せっせと「座礁資産」を増やしているだけでなく、温室効果ガスの排出を「実質ゼロ」にしていこう!という世界の足を引っぱる存在になってしまう恐れがあります。地球と日本の未来に禍根を残す石炭火力発電の増強はストップしなくてはなりません。

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