気候変動に関わるCOPのこれまで

世界の国々が温暖化に対して取り組む必要があるとの認識で、1992年に「気候変動枠組み条約」が採択されました。1994年に条約が発効した後、毎年COP(締約国会議)が開催されています。
日本の京都でCOP3が開催されたことを覚えている方もいらっしゃるでしょう。1997年のCOP3では「京都議定書」が生まれました。この内容は、「温暖化の原因をつくってきた先進国が、2008~12年の温室効果ガス排出量を90年比5%削減する」というもので、先進各国に温室効果ガス排出上限が課せられ、日本の割り当ては6%減でした。「マイナス6%」という数字は、政府だけではなく、多くの企業でも目標値として掲げられました。
このときは、「これまでの温室効果ガス排出の大半は先進国が出したものだから、先進国が減らすべき」という論理で、先進国のみが削減義務を負ったのですが、実際には、その後、中国やインドなど経済成長を遂げた途上国を中心に温室効果ガスの排出量が急増し、「先進国だけ減らせば良い」という状況ではなくなってきました。
そのような中、2001年に、自国の経済成長を優先するなどの理由で、米国が離脱。2009年にデンマークで開催されたCOP15では、新たな枠組みの合意を目指したものの、先進国と途上国の意見の隔たりが大きく、うまくいきませんでした。
2010年のCOP16は、京都議定書の約束期間が終わるため、その延長を決めましたが、日本などは第2約束期間に参加しないことを決めました。こうして参加国が大幅に減ってしまい、2013~20年の期間に削減義務を課された国々の排出量は世界全体の1割強まで減ってしまったのです。つまり、京都議定書による削減義務の対象になっていない国々の排出が世界全体の9割弱と、ほとんど実効性のないものになってしまったのでした。
 このままでは、世界全体で温暖化対策をとることができなくなってしまう……。2011年に南アフリカ共和国で開催されたCOP17では、この問題意識と切迫感を共有することができ、「すべての国が参加する枠組みづくり」を進めることに合意ができました。そして、その後のCOPでさまざまな準備や調整を進め、「ここで失敗すると、もうあとはない」と言われる状況の中、2015年12月にフランス・パリでのCOP21を迎えたのでした。

COP21で決まったこと

今回のパリでのCOP21が「画期的!」と言われるのは、京都議定書以来、18年ぶりに世界の温暖化対策がまとまったからです。COP3で成立したのは「京都議定書」でしたが、今回のCOP21では「パリ協定」が採択されました。
このパリ協定は、京都議定書の約束期間後の2020年以降の新たな枠組みを定めるものです。京都議定書では先進国のみに温暖化ガスの排出削減義務がありましたが、今回のパリ協定には、途上国を含むすべての国が参加することになったため、「画期的!」なのです。パリ協定の中身について簡単に紹介しましょう。

目標

パリ協定では、産業革命前からの気温上昇を2度より十分に低く抑える目標を掲げたうえ、さらに1.5度以内とより厳しい水準へ努力すると明記しました。科学者たちは、2度を超える気温上昇は世界各地に甚大な悪影響をもたらすと警告を発してきました。今回、この「2度」という目標を世界全体の目標として設定することができたのは、本当に大きな進展です。
しかし、すでに地球の気温は1度程度上昇していますから、温室効果ガスの排出量を早期に頭打ちにし、21世紀後半には人為的な排出量を大きく減らして、森林などによる吸収量と同じレベルまで引き下げる(=人間が出す分はすべて森林などが吸収し、大気中に溜まらない)ことをめざします。

  • 青の物語はこちら
  • 緑の物語はこちら
  • プロジェクト対象機器はこちら
ページトップへ